読書日記 『犬身』 松浦理英子 著

書評

どうも、妻です。

長い休みに入る前に、長い小説を読んでみようと借りた本を読了したので、備忘録。

『犬身』 松浦理英子著 朝日新聞社 ISBN9784022503350

505ページ、なかなか分厚い本です。

「犬になりたい」と常々考え、自分は「種同一性障害」なのではないかとまで考える女性(八束房恵)が主人公。

陶芸家の女性(玉石梓)とその愛犬ナツに出会い、彼女の犬になりたいと思うようになります。

「魂をあつめている」らしいバーのマスター(朱尾献)によって犬に変身し、梓の飼い犬になった房恵は、梓の家の秘密を知ることとなります。

はじめはなかなかページが進まなかったのですが、房恵が朱尾のバーに通い始めるくらいから面白くなってきて、ぐいぐい読みました。

はまってからはあっという間に読み終えました。面白かった…のですが、正直、こんなに長くなくてもいいような…。

冒頭の、においに関する記述とか、そんなに詳しくいるかしら?読者に、確かに房恵は種同一性障害かもと感じさせるため?

元同僚の久喜洋一も、詳しく描かれる割にそんなに活躍しないし。

そもそも、朱尾があんなに手間をかけて房恵を梓の犬にする理由がいまいちぴんとこない。
たぶん魂を集めてどうするかがはっきりわからないからだと思います。

食べるならこんな手間をかけて集めてられなそうだし、文中に出てくるように飾り物にするにしても、だいぶ先の事そうです。

あと、「房恵の梓に対する感情は、性的なものかそうではないのか」に、そんなにこだわらなくてもいいんじゃないかと感じてしまいました。

いや、たぶんこの小説のポイントの部分なんでしょうけれど…。

「人対人」だといろいろと考える余地がありそうですが、「人対犬」だと、どっちでもいいんじゃないか?と思ってしまう(「種を超えた性」についての話もでてきますが)。

ので、そこにとくにこだわる朱尾になかなか感情移入しづらかったです。

ただ、そんなことを考えつつどんどん読んじゃいました。単純に面白くて先が気になったんですね。
一度読んでみてもいいんじゃないかな…と思います。
が、性的描写も結構あり、嫌なやつも多々出て、ちょっと気持ち悪い(へそのゴマとか吹き出物とか)シーンもあるので、万人におすすめはできません。ご注意を。

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